神奈川県　S様より

S様のご実家で使われていた重箱ですが、ところどころヒビが入っていたり、塗りが剥げていたりということで修理をご依頼いただきました。

重箱のフタ

【修理前】

角の部分にヒビは入ってました。

●外側は蒔絵の部分にかかっており、部分で塗る方法と全体を塗り替えて蒔絵を描き直す方法があるのですが、表面に傷もあったことから全体的に塗り直すことになりました。

●内側は刷毛目になっており、塗り直すと刷毛目の風合いがなくなってしまうことから、ヒビの部分のみ修理することになりました。

表は塗り替えて蒔絵も同じように復元しましたので、新品同様の仕上がりになりました。

部分直しですので、どうしても直した部分の漆の色の違いが目立ちます。

同じような色合いの赤の漆で塗っても、塗りたてと何十年も経っている漆の色を比較するとこれだけ違いが出てきます。もちろん、まったく同じになることは不可能ですが、何年もかけて徐々に同じような色に変化していくというのが漆の大きな特徴です。

角の部分にヒビが入っています。

また、ところどころ剥げている部分もみられたため、本体の外側は全部塗り替えて、内側はフタと同じように部分塗りをすることになりました。

本体の底の部分も傷が目立っていましたので、すべて塗替えます。

内側のヒビの部分修理。

色が違う部分がヒビを埋めて漆を塗った状態です。

外側は、全部塗り替えたので、新品同様の仕上がりです。

☑　約６ヶ月近く

☑　約３万円

(注)　おおよその修理費用としてご紹介しておりますが、修理の方法の他、年々材料費の高騰により変化してます。

ご依頼いただく際はその都度お見積りさせていただきます。ご了承ください。

昨日重箱が届きました。

外側はとてもきれいで、蒔絵も素敵に入っており、完璧です。

内側はお願いした時からわかっていたことですが、やはり塗りの違いが目立ちますね。

でも懐かしい重箱ですので、これから大事に使っていこうと思います。

この度はありがとうございました。

お母様から受け継いだ想い出のある品ということで、修理させていただきました。

修理費用があまり高価ならあきらめようと思われていたようですが、このような形で修理させていただいたことを有難く思います。