大分県 F様よりご依頼いただいた蕎麦のこね鉢修理事例です。
F様は家を解体するにあたり、破損していたこね鉢を捨てようかどうしようか迷われていて、ネットで検索し、私たちにお問い合わせをいただきました。
大きな木をくりぬいたこね鉢を捨てるかどうしようかというご相談をいただいたとき、私は正直な気持ちで以下のように答えました。
「これからも使いたいというお気持ちがあるのなら捨てるのはもったいないです。もう使わないということなら置いておいても邪魔になるだけなので処分してもいいかもしれませんが、新しく同じものを購入しようとしても、なかなか見つからないでしょうし、あったとしてもとても高価です。」
F様は、私が「もったいない」と言った一言で修理をすることに決めたと後に教えてくださいました。
修理前のこね鉢の状態
![破損したこね鉢](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=480x10000:format=jpg/path/s1340f0d65134ae58/image/i4a2ece37d2574422/version/1472091700/image.jpg)
![欠片をパズルのように組み立てた写真](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=480x10000:format=jpg/path/s1340f0d65134ae58/image/if26b6831a4e758e7/version/1472091762/image.jpg)
見事に割れてしまったこね鉢ですが、欠片が残っているのは有り難かったです。
接着して、隙間にコクソ漆を埋めて、その上から漆を塗って仕上げることになります。
修理後
![修理後のこね鉢](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=480x10000:format=jpg/path/s1340f0d65134ae58/image/i7dfdf7151b4522ac/version/1472091938/image.jpg)
![修理後のこね鉢 欠片を接着した部分](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=480x10000:format=jpg/path/s1340f0d65134ae58/image/i3ce35ad9b7fcedc7/version/1472091986/image.jpg)
欠片を接着した部分は同じ色には仕上がらないため、やや濃いめの仕上がりになっていますが、年月が経てば、徐々に透けてきて明るく色が変わってくると思います。
全体的に漆をかけて仕上げているので、漆独特のつやも出ました。
![こね鉢の外側仕上げ](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=480x10000:format=jpg/path/s1340f0d65134ae58/image/i9d7bc3e3b0dc73bb/version/1472092721/image.jpg)
少しでも丈夫にするために、外側の縁に1周ぐるりと布を貼って漆を塗って仕上げています。
あえて布を見せる仕上がりで、真(しん)塗りで仕上げるより費用も抑えられますし、つやを抑えた風合いもなかなかいい感じで、真塗りより傷が目立ちにくいので却って扱いやすいと思います。
※真塗り(しんぬり)とは、表面が無地でつるっとした仕上げの塗り技法です。
内側は風合いを重視したため布貼り仕上げにはしていません。
今回の費用の目安は?
☑ 25,000円
今回の納期は?
☑ 約3ヶ月