· 

桑の木の汁椀とお箸の拭き漆修理例

漆器の修理で悩んでいらっしゃる方の中には、高価なものじゃないからどうしようか・・・というふうに思ってらっしゃる方も案外多いと感じています。

例えば毎日使うような汁椀とかお箸は、形が気に入れば、ますます愛着も出てきますが、同じものを買い替えようと思っても見つからない場合もあります。

 

今回は、日常頻繁に使う汁椀とお箸の修理事例を紹介します。

 

 

修理前の状態

桑の木の汁椀とお箸
桑の木の汁椀とお箸

ブログでも何度となく拭き漆について説明しているのですが、初めて読んでいただく方向けに簡単に説明させていただきます。

 

拭き漆というのは、生漆を塗って、拭いて、乾かして、という作業を艶が出るまで何回か繰り返して仕上げる技法で、薄い漆の層で覆われた仕上がりになります。

何回も繰り返すことで、漆の層も厚くなり、より濃い色に仕上がります。

杢目の風合いを活かしたものがお好みの方には、拭き漆仕上げの漆器はお勧めですね。

本格的な刷毛塗り(黒や朱塗りの杢目が見えない仕上げ)の漆器と比べると、お値段もお安いという嬉しい利点もあります。

 

ただ、拭き漆の場合、漆の膜は薄いので、長年使っているうちに少しずつ漆が剥がれてしまい、そうなると当然木地が見えて剥がれが目立ってきます。

塗りが剥がれると、木地自体を傷めることにもつながりますので、早めの拭き漆修理がお勧めです。

 

修理をすることで、愛着のある漆器をさらに長く使うことができます。

 

 

今回ご紹介したお椀とお箸は、お子さんが小さい頃から大切に使ってきたもの。

 

お椀の直しは初めてということでしたが、お箸は今までにも他店で2回ほど塗り直しているというお話でした。

 

子供のころから大事に使う習慣があるなんて、とても素晴らしいですね!

 

大事に大事に使っていても、塗り物はいつかは剥げます。

そして、使う頻度が多ければ多いほど剥がれは早くやってきます。

 

お椀にはやや小さな縦ヒビが入っていましたので、接着した後、拭き漆を施して仕上げることにしました。

ヒビが大きい場合は、布を貼るなど別対応になります。

 

 

修理後

拭き漆を施したお椀とお箸
拭き漆を施したお椀とお箸

拭き漆は、最低でも5回から6回施しています。

漆の艶が美しく、触った感じも滑らかで、今後も気持ちよくお使いいただけるのではないでしょうか。

 

 

◆今回のお直し期間

 約2週間

 

 

◆今回の修理費用の目安

 お椀:2,500円前後

 お箸:1,500円

 

(注) おおよその修理費用としてご紹介しておりますが、修理の方法の他、年々材料費の高騰により変化してます。

ご依頼いただく際はその都度お見積りさせていただきます。ご了承ください。

 

◆お客様の声をいただきました!ありがとうございます。

174521