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漆と塩分 わっぱ弁当の修理で起きるトラブル

白木の曲げわっぱ弁当箱を拭き漆で仕上げるという修理依頼をたびたび受けるようになりました。

 

白木といっても木の種類は様々ですが、無塗装の秋田杉のお弁当箱は漆の浸み込みがとてもよくて、深みのあるお弁当箱に仕上がるなぁと個人的には思っています。

ただ、残念なことに、今までに何度か以下のような現象が起きているのです。

 

 

 

漆が弾く(浸み込まない)?!

写真は、拭き漆(1回目)をしたお弁当箱です。

※拭き漆は、漆のつやが出るまで「生漆を塗って、拭いて、乾かして」という作業を何度も繰り返して仕上げる技法です。

 

写真のお弁当箱の蓋の中央あたり、漆が全く浸み込まなくて、白木地がそのまま見えている部分があります。

よく見ると、その周辺もうっすら漆の浸み込みが悪い部分があるのがお分かりでしょうか?

 

一番最初に、この現象が起きた時、「えっ、なんで?!」と正直焦りました。

 

すぐにご依頼いただいたお客様に連絡を取ったところ、もしかすると、梅干しが原因かも・・・と。

そういえば、職人が、「漆は塩分が付着しているとはじく」と言っていたのを思い出しました。

おそらく、梅干しの塩分が付着し、木地に浸透しているため、漆が浸透していかないのだろうという結論になりました。

 

漆には塩分が大敵、ということを学びました。

 

 

お弁当箱の状態を見て塩分がついていると判断できればいいのですが、残念なことにやってみないと分かりません。

今までにもこのようなことが何度かあり、正直困っています。

 

食べ物を盛るお弁当箱だけに、安全な方法で塩分を除去する方法があれば是非知りたいところです。

 

 

無塗装のお弁当箱を拭き漆にするというご希望の場合は、こんなこともあるということを念頭に置いていただければ幸いです。