ネットで漆器修理に関わって一年半の経験から学んだ4つのこと

漆の漆器修理(重箱修理)
漆の漆器修理(重箱修理)

漆器修理サイトを立ち上げてから一年と半年ほど経とうとしています。

 

ホームページを運営していて気がついたこと、勉強になるなと思ったこと、予想外のこと、などなど本当にいろいろありました。これも、お問い合わせやご依頼いただいたお客様のおかげです。修理例や漆器修理ブログ自体もお客様なしでは全くなりたたないものです。

 

運営期間は短いですが、今までの経験で学んだことをまとめてみました。

漆器修理に関して、私がネット運営経験から学んだこと


1 予想以上に個人の方から、それも本漆の塗り直しのご依頼が多かった

このサイトを立ち上げる前は、どちらかというとお店で使われている漆器の食器の塗り直しなどがメインになるのかなと予想をしていました。

しかし予想に反して、個人の方からのご依頼が多くなってきました。今では8割以上がご家庭で使われていたり、代々受け継がれているものだったりといった漆器修理が大半です。

 

私は、今年で225年という歴史のある漆器屋の娘として生まれ育ってきました。6代目の祖父の代までは木製のお椀の下地から上塗りまでを製造していましたが、父の代で木製から樹脂製の業務用漆器を扱うようになり、現在に至ります。

 

日本全国漆器の産地があるわけですが、鯖江市河和田地区は、伝統産業である木製漆器から利便性を兼ね備えた樹脂製業務用漆器の食器まで幅広く生産されている越前漆器産地です。

 

木製漆器も樹脂製漆器も、専門の職人が存在するという恵まれた産地なのです。

 

木製漆器の中には、他の産地特有の塗りの技法を使ったものなど修理ができないものもありますが、重箱・お椀・お盆などある程度、いえ、かなり対応できるということが分かってきました。

 

2 職人さんの技術の凄さにに一番感動!

漆器の修理品は、江戸時代から平成時代に作られたものまで本当にさまざまです。最初は、どんなものが届くか心配の方が先に立って、果たして産地の違うものを修理できるのだろうか?と思っていました。

届いて拝見した時に、「これは無理かもしれない」って思う事が正直あったりもします。

 

私が修理できるわけではないので、専門の職人さんにその都度相談から始まります。修理方法も千差万別で、価格もひとつひとつ違うし、やればやるほどいろんな部分で大変さもでてきました。

 

無理難題と思われる修理でも、なんとか元通りにしよう!使えるようにしよう!お客さんに喜んでもらおう!という想いで手をかけて下さる職人さんたちは本当に凄いの一言です。

 

塗りあがったときの感動、蒔絵まで仕上げてもらった時の感動は、関わっているものの特権です。これは、修理前と修理後を比べるので感動も一層大きいのだと思うのです。

 

それに漆の特性というものを分かっているつもりではいましたが、実際はまだまだ知らないことが多くて、この一年ほどでずいぶん理解が深まってきました。

3 お客様のモノに対する想いやそれにまつわるストーリーに感動!

人によっては捨てる対象かもしれないものを修理するということは、それだけモノに対しての愛着や想い出があるということなのです。

 

お母様の形見の品、おばあちゃまから代々受け継いだもの、結婚記念品、お友達からいただいた大切な想い出の品 etc

 

お一人お一人のモノに対する想いを聞くたび、温かい気持ちになるとともに責任感も重大だなと感じるのです。

 

こんなお話をうかがうことができるのも役得ですよね、私って。

4 いくつかの問題点

  • 最初の見積もり通りにいかないことがあります。

修理の見積もり品を送っていただいて、修理費用を見積もるのですが、予想より手間取ってしまい最初に見積もり費用をオーバーすることもたまにですがあります。見積もりをはじきだしてお客様に伝えている手前、後でプラスいくらになりますとは言い難く、いまのところ大きな課題です。かといって、最初から高めに見積もることも気が進まないですし・・・

 

  • 漆塗りの写真は難しい

漆で塗り替えると、つやが出てピカピカになってしまうため、なんでも写りこんでしまうという事態に?! 基本、全部社内で撮影しているので、上手く撮れるように日々勉強中です。

修理前と修理後の写真を、うっかり撮り忘れないことも大事です。とにかくこのひと手間ふた手間があって初めてお客様にも納得してもらえると思っています。

 

  • 木製の漆塗り修理は予定通りに仕上がらない

手塗りの漆塗り修理はなかなか予定通りとはいきません。しかも、古い漆器の修理はけっこう熟練した職人さんでなければできないこともしばしばなのです。

1月に御依頼いただいたものが、梅の花が咲くころにはできるかと予定していたら、桜が咲き終わるころになったりと、お客様の期待を裏切ることもありました。その逆のパターンもたまにあります。

それから少量を修理するということは、思った以上に職人さんに負担をかけることになるので、急いで仕上げてとはとても言えないという裏事情もあって・・・

 

まとめ

このように実際運営して、いろんな問題にぶつかることも多いのですが、お客様からの「ありがとう」の一言が何よりも嬉しくて、大変だけどやりがいを感じます。

 

新たに気づき、学ぶことが多かった1年半ですが、初心を忘れず誠心誠意努めていく所存です。

 

今回はちょっと長くなりましたが、最後まで読んでいただきましてありがとうございました。